月経困難症の治療

痛みは身体からのシグナル

生理痛が強くなってきた、鎮痛薬の量が増えてきた、生理期間以外でも痛みがある、そんな症状があったら要注意です。痛みは身体からのシグナルです。婦人科を受診して診断を受けましょう。

医師へ症状を説明するときのポイント

POINT
  • ・日常生活への影響(横にならないとつらい、学校や仕事を休まないとつらい、寝込む など)
  • ・鎮痛薬の頻度と量(使用するタイミング、毎回必要か、徐々に量が増えているか など)

月経困難症の薬物治療

月経困難症の薬物治療には、鎮痛薬、漢方薬、ホルモン薬などがあります。いずれも生理の痛みのコントロールを目的として使用されます。

月経困難症の治療で使用される薬の特徴

治療薬 特徴
鎮痛剤 痛みの原因物質のプロスタグランジンの産生を抑制します。生理が始まる前や痛くなる前に飲むと効果的です。
漢方薬 冷え性、痛み、むくみ、便秘など、月経困難症や月経前症候群(PMS)に伴う症状の緩和に使います。
ホルモン薬 LEP:
低用量卵胞ホルモン(エストロゲン)・黄体ホルモン(プロゲステロン)配合薬
排卵を休ませることによって子宮内膜が厚くならず、プロスタグランジンの産生を抑えて、生理痛を軽減します。
黄体ホルモン(プロゲステロン)薬 子宮内膜を厚くさせないことで、プロスタグランジンの産生を抑えて、生理痛を軽減します。経口剤や子宮内に挿入する薬剤があります。

LEP(低用量エストロゲン・プロゲステロン配合薬) を用いた治療

I. LEPの作用
排卵を休ませることによって子宮内膜が厚くならず、プロスタグランジンの産生を抑えて、生理痛を軽減します。また、生理期間が短くなったり、出血量が少なくなります。

II. LEPの服用方法
「1日1錠、21日間服用し7日間休薬する方法を繰り返す」などの周期投与法と、「1日1錠、28日より長く設定された期間服用し7日間休薬する方法を繰り返す」などの連続投与法があります。

III. LEP服用にあたり注意すべき点
不正出血
服薬期間中の出血を「不正出血」といいます。子宮内膜の状態が変化するため、多くは服用を始めて1~2ヵ月以内にみられる傾向があります。薬の飲み忘れや不規則な服用時間も原因となります。

吐き気
排卵を休ませ、赤ちゃんはいないけれど妊娠に近い状態にするので、服用のはじめの頃に悪阻(つわり)のような吐き気があらわれることがあります。多くが2~3ヵ月以内に軽快します。

血栓症
血のかたまりが細い血管に詰まることで起こります。LEP服用者よりも喫煙者や妊婦さんの方が発症リスクが高いといわれてますが、40歳以上の方、肥満傾向の方は注意が必要です。十分な水分(1日1,500cc以上)の摂取や、同じ姿勢を長時間続けないなど、生活習慣に留意しましょう。

日常生活で工夫できること

・食事
・身体を冷やさない
・ストレスをためない

監修:
聖順会 ジュノ・ヴェスタ クリニック八田
理事長・院長 八田 真理子先生